上位交差症候群とは
上位交差症候群は現代の生活で多く見られる症状の一つです。その一番の要因は長時間のデスクワークなどによる「不良姿勢」であり、その結果特定の筋肉が緊張と弱化をするために起こります。しかし、現代人の生活スタイルを考えるとこの状況を変えていくのも難しいというのも事実です。とりわけ、コロナの影響で在宅ワークが広がり以前よりもこの症状悩む人は多くなりました。
当院でも上位交差症候群の特徴である「前方変位の首」「丸まった背中」は多く見られます。それに付随して首の痛み、頭痛、腰の痛み、腕の痺れ、肩、背骨の可動性の低下などの症状が起こり、ご来院される方が多数います。
症状の特徴
背面側で緊張する筋肉は上部僧帽筋と肩甲挙筋、身体をクロスするように前面側では大胸筋と小胸筋が緊張を起こします。反対に筋肉が上手く使えずに弱化しやすい筋肉は椎前筋群と下部僧帽筋です。この前後のアンバランスな状態が関節機能障害を作り出します。とりわけ椎体の構造が変化する移行部である、頚椎後頭関節、頚椎4番5番間、頚胸移行部、胸椎4番5番間で関節機能障害は起きやすいです。
人間の骨格構造の特徴上、元々緊張を起こしやすい筋肉と弱化を起こしやすい筋肉が存在するが、それと共に過緊張を起こしやすい筋肉は早い時期から発達し、反対に筋肉の働きが弱化しやすい箇所は発達が遅いと言われています。
上位交差症候群の名付けの親であるブラディミア・ヤンダはまず初めに筋肉のアンバランスが起こり、それが関節の機能障害を引き起こし、不良姿勢や身体の働きが上手にできなくなると述べています。そして多くの施術家は過剰に緊張している筋肉に対して、ストレッチやマッサージなどを中心にアプローチすることがほとんどです。しかし、実際はそれだけでは不十分であり、弱化傾向のある筋肉を働かせ、失ったバランスを取り戻すことが重要となります。つまり、緊張した筋肉だけにアプローチしても不十分なのである。
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呼吸補助筋とは
また適切な呼吸運動行い横隔膜を使えることも重要です。その理由としては横隔膜を使えないことで、呼吸補助筋と呼ばれる筋肉が過剰に働いてしまうためです。この呼吸補助筋は本来大きく息を吸い込む時などに使うためにあるためであり、普段の呼吸で過剰に働くことは望ましくありません。
呼吸補助筋には胸鎖乳突筋、斜角筋、大胸筋、小胸筋、上部僧帽筋、外肋間筋などがあり、これらの筋肉は全て過緊張を起こしやすい筋肉になります。つまり、正しく呼吸できずにこの呼吸補助筋に頼っていると、これらの筋肉が過剰に緊張し慢性化がさらに進む原因となります。平均的な成人では一分間に12~16回ほど呼吸をしており、1日に計算すると平均して約20,000回の呼吸をすることになります。もし、正しい呼吸ができていないと、先ほど説明した補助筋が必要以上に緊張を起こしてしまうことが容易に想像できると思います。結果として現代人の多くが首回りや背中の不快感や痛みを訴えるようになります。
治療計画
上位交差症候群場合、いろいろなことの積み重ねで今の状態を作っている場合が多いので、それぞれにあった治療計画を作っていくことが重要となります。最初にやることとしては、呼吸のリズムが正しいかどうかを確認することです。なぜならこの確認を怠れば呼吸補助筋は常に緊張を強いられ再発を繰り返してしまうためです。ひとりひとり緊張が強い筋肉は違うので、検査を行なった上で過緊張の筋肉に施術を行い、必要であれば調整も行います。次に抑制がかかり弱化している筋肉に対して検査を行い、適切な施術と運動療法を行なっていくのが一連の流れです。
この三つのステップ、呼吸パターンの確認、過緊張に対するアプローチ、抑制菌に対する運動療法が上部交差症候群には必要になります。もし、お悩みであれば一度ご相談ください。
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