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肩関節の解剖学

肩関節の解剖学

 

 肩関節は球関節という構造になっていおり、人体の中で最も可動域がある関節です。その可動域を可能にするために骨や関節、周囲の軟部組織が絶妙なバランスを持ち構成されています。

 

 肩関節では骨自体よりも筋肉や靭帯、軟骨、腱などの外傷が多く起こります。「ローテーターカフ損傷」や「肩関節インピンジメント」はその代表例です。肩関節の損傷はテニスや野球など肩を多く使うスポーツ選手や、仕事で重いものを肩より上に持ち上げる人などに多く起こります。

ローテーターカフ損傷についてはコチラ」 

肩関節インピンジメントについてはコチラ

肩関節の解剖学

肩関節を構成する骨

 

 肩関節は以下の三つの骨によって構成されています。

 

・肩甲骨:肩関節における肩甲骨の役割は、上腕骨を関節窩と呼ばれる場所で安定させることです。

 

・上腕骨:肩甲骨の関節窩と上腕骨の骨頭部分で球関節を形成します。この球関節のおかげで肩関節は広い可動域を可能にしています。

 

・鎖骨:鎖骨の役割は、肩関節が外転運動を行った時に腕を安定させる役割があります。

肩を動かす関節

 

 関節とは2つ以上の異なった骨が繋がる場所を呼びますが、肩を構成する関節は大きく4つ存在します。

 

・肩甲上腕関節:肩関節の中で一番認知されている関節であり、上腕骨の骨頭と肩甲骨の関節窩によって構成されています。自由な動きを可能にしている分、関節のはまりが悪く怪我を起こしやすいのも特徴です

 

・肩鎖関節:鎖骨の遠位端と肩甲骨の肩峰で平面関節を構成しており、前後左右の動きが可能です。主に腕を挙上する時に働く関節となります。

 

・胸鎖関節:鎖骨の近位端と胸骨からなる関節で、鞍関節を形成しています。肩をすくめたり、腕を後ろに持っていく時などにこの関節が動きます。

 

・肩甲胸郭関節:肩甲骨と胸郭との間を呼びます。この関節は靭帯で結合されていないため、関節と呼ばない人もいます。

関節軟骨について

 

 他の関節と同様に肩関節にも関節軟骨は存在します。関節軟骨は柔軟性と強度の両方を備えており、それによって2つの機能を可能にします。

 

・骨同士がスムーズに動くようにする。

・果汁を吸収する役割を持っている。

 

 肩の関節軟骨は、膝関節や股関節にある軟骨よりも薄くできているため、障害を受けると肩の可動域などに影響を出しやすくなります。

 

肩関節を支える筋肉

 

 肩関節は関節のはまりが浅いため、可動域が大きくなるメリットがありますが、反対に不安定性が起こりやすい関節出るとも言えます。そのため不安定性を補う目的で、ローテーターカフを中心とした筋肉群が肩関節を支える構造になっています。肩を支える筋肉には以下のようなものがあります。

 

ローテーターカフ

 

・肩甲下筋:肩甲骨の内側にある三角形の形をした筋肉です。主な作用は肩関節の内旋になります。

・棘下筋:肩甲骨の外側にある三角形をした筋肉です。主な作用は肩関節の外旋になります。

・小円筋:棘下筋の下に存在し、作用も同じ肩関節の外旋になります。

・棘上筋:肩甲骨の上面に存在する筋肉で、肩関節外転する際に最初に働く筋肉になります。

その他の筋肉

 

・三角筋:肩関節全体を覆っている三角形をした大きな筋肉です。肩の脱臼を防いだり、肩関節の外転運動の主要な筋肉になります。

・上腕三頭筋:腕を内外旋させるのに働いています。

・小胸筋:肩甲骨の烏口突起から肋骨に付着し、肩を前方に動かすように働きます。

・上腕二頭筋:前腕の回外運動と肩関節の屈曲運動に関わります。

・広背筋:背中から上腕骨に付着し、肩関節の回内と伸展動作に関わります。

肩関節を支える靭帯

 

 肩関節を支える靭帯には以下のようなものがあります。

 

・烏口上腕靭帯:上腕二頭筋の上部を安定させるのに重要な靭帯になります。

・肩関節靭帯:3つの靭帯が存在し、主に肩の前方を安定させる役割があります。

・上腕横靭帯:上腕骨を横切るよう付着し、その下を上腕二頭筋腱が通過しています。