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妊娠中の坐骨神経痛

妊娠中に起こる坐骨神経痛

 

 腰椎に起こる神経根症のことを坐骨神経痛と呼び、症状は痛みや痺れ・筋力の弱化などが特徴で、坐骨神経の走行する腰部や臀部・太ももの後面・足底に感じます。今回のブログでは妊娠中になぜ坐骨神経痛が起こるのかのメカニズムと、その対象方法についてお伝えします。

座骨神経痛の症状


 典型的な坐骨神経痛の痛みは、鋭く刺すような痛みが臀部から太ももの裏、足先にかけて起こります。痛みは片側に起こることがほとんどで、重だるく感じたり、力が入らない感覚が出たりします。「座骨神経痛についてはコチラ

 

坐骨神経痛の画像

腰椎椎間板による座骨神経痛

 妊娠中に坐骨神経痛を感じる場合、多くの場合腰椎椎間板ヘルニアにより神経根が圧迫や障害を受けていますが、妊娠の影響で椎間板ヘルニアを発症するケースは1%以下とも言われ非常に稀です。もし腰椎椎間板ヘルニアを発症するとすれば30代以上の女性の方がリスクが高いと言われています。「腰椎椎間板ヘルニアについてはコチラ

骨盤痛と座骨神経痛

 

 妊娠中に多い痛みの代表として骨盤痛(仙腸関節痛)があり、症状の出方が座骨神経痛とよく似ています。骨盤痛(仙腸関節痛)は約76%の妊婦に起こると言われ、初産の場合約5%の母親が2年後も骨盤痛があると言われています。骨盤痛(仙腸関節痛)が妊娠中に起こりやすいのは、仙腸関節の安定性が失われ過度に動きが出てしまうためであり、その原因は次のように考えられています。

 

・妊娠中はリラキシンと呼ばれるホルモンの影響で骨盤周辺の靭帯を緩め、産道を広げる準備を行
・妊娠後期になるにつれて子宮も大きくなる影響で、骨盤を安定させる筋肉が上手く働かなくなります。

 それに加えて、体重の増加や歩き方の変化などにより、仙腸関節に過度の負担を掛けやすくなります。その結果仙腸関節が炎症を起こし、強い骨盤の痛みを引き起こします。

 

骨盤痛の症状とは

 

 妊娠中の腰痛で一番多いのは骨盤痛です。その数は腰椎が原因の痛みよりも約4倍以上多いとも言われています。下記のような症状を感じる場合、妊娠による骨盤痛の可能性があります。

 

・仙腸関節周辺に鈍く重だるい痛みがある。

・時折広がる痛みが股関節や太ももに感じる。

・痛みは通常立ったり、歩いたり、階段を上る時や寝返りをした時に強くなり、横になって休むと和らぎやすい。

・もし仙腸関節に炎症が起こっている場合、骨盤周に固さや焼けるような感覚を感じることがあります。

座骨神経痛を和らげる方法

 

 自宅で行うことができる簡単な運動やストレッチは妊娠中の座骨神経痛には良いといわれています。ただし、痛み止めなどを服用する場合は必ず専門家に確認を行ってから服用することが必要となります。以下のような方法が座骨神経痛を和らげるのに効果的です。

 

・ホット&アイスパック:もし座骨神経痛が強く炎症を伴う場合は、アイスパックを行うと痛みと痺れが和らぎやすくなります。なぜなら冷やすことで痛みのシグナルが弱まり、血液循環が遅くなるため炎症が治まりやすくなるためです。もし、慢性的な座骨神経痛の場合ホットパックが有効性です。暖めることで血液の循環が良くなり栄養の供給や筋肉の固さがとれやすくなるためです。

 

・妊婦専用の簡単な運動やストレッチ:妊娠中でも行える運動やストレッチはいくつかあり、適切に行うことが出来れば非常に有効になります。運動をすることで良い姿勢を維持しやすくなり、腰部や骨盤の負荷を減らすことが出来ます。

 

・短い距離の散歩を行う:短い距離の散歩を行うことで腰椎・骨盤の安定性を維持しやすくなります。特に歩くことで椎間板へ適度の刺激が入り、椎間板への栄養供給が行われやすくなります。久しぶりに散歩を行う方は、まず5分ぐらいから始め、少しずつ距離や時間を延ばしていきましょう。また、また、水泳やエアロバイクなどもお勧めの運動になるので、専門家の方と相談し計画をたてることが重要です。

深刻な座骨神経痛の場合

 

 腰椎椎間板ヘルニアによる座骨神経痛で、約2%の妊婦さんは馬尾症候群になるといわれ強い神経症状が起こります。特に馬尾症候群では両下肢の強い痺れや筋力の弱化、感覚の異常、排便・排尿障害が起こります。もしそのような症状が出る場合は早急な医療機関の受診が必要となります。

 

終わりに

 

 妊娠中の座骨神経痛の場合できるだけ早く適切な対応を行うことが重要となります。座骨神経痛事態は妊婦さんに多く見られる症状ではありませんが、一定数の方は症状がでるのも事実です。妊娠中の身体の特徴を考え、座骨神経痛が起こっている原因を適切に評価することが重要となります。